私の(一方的な)梶裕貴との戦争が終了した。
梶裕貴に完敗した。なんのわだかまりもない完全な降伏であった。
私と梶裕貴の(一方的な)出会いは、2008年にさかのぼる。
彼はデビューしたてで、まだ知名度はなかった。(だが彼はその後すごい勢いで、主役を演じまくりブレイクしていった)
彼を知ったのは、言葉なんていらないというBLCD。
当時私は下野紘が出演しているCDをメインサブ関係なく片っ端から購入しており、このCDは下野は脇役。
中村と梶裕貴の作品でした。
そこで梶裕貴をだいぶ気に入った気がする(上から目線)
彼の初乙女ゲーム作品となるカヌチのキャストに選ばれた時私は大変喜んだ。
この時のカヌチのキャストはかなり挑戦的で、私も知らないキャストが名を連ね、今でこそ常連の梶、立花だが当時は二人に対しても誰だ?と戸惑っていたと思う。
事実カヌチのキャストの発表はオトメイトパーティ内で行われたらしいが、会場は静まりかえり困惑した空気が流れていたという。
私は梶をこの頃推していたし、皇帝が大好きだったのでカヌチのキャストには大変期待していた。
また、同時期にライフウィズアイドルが発売され、梶目当てにプレイした。
とここまでは私は順調に梶推しコースを歩いてきた。
ただこの頃、事務所の梶推しがはじまり、やたらと下野とセット売りされるようになった。
私は中の人の腐女子のためのアッピルイチャイチャが地雷だったので
我慢しても我慢してもダメだった。今のように中の人自体に興味はなくのんびり乙女ゲームをやるのではなく、当時はただの声オタだったし、イベントなどにも積極的に顔を出すタイプだった。
下野くんの関わるものをコンプしたいのに、セット売りした商品を購入することがどうしてもできなくて、自分のコンプが達成できないことへの怒りもあった。
私の中で梶裕貴は徐々に地雷になりつつあった。 もうそれは本当に身勝手な理由であった。
しかし、声自体は基本的には好きなので下野とのセット売りはシャットダウンすることに決めて、時々勝手にイライラしながらも気にすることなく日々を送っていた。
が、2010年。
猛獣使いと王子様という作品で梶裕貴が演じるキャラを攻略したときに 彼の演技が全部アンパンマンに聞こえるという謎の現象が起きた。
可愛いキャラクターだったので、多少無理をしたブリ声がたたったのだろうか私にとってはもうアンパンマンが愛を囁いているようにしか聞こえなくなった。
もちろんそのルートは何にもときめくことができず、自分自身戸惑っていた。
これが引き金となり、私は梶裕貴の声がすべてアンパンマンに聞こえるようになってしまったのだ。
もうこれはトラウマといってもいい。
私は梶裕貴のキャラクターを避けるようになった。
だが彼は人気声優なのでアニメの主役をたくさんやっていて、私も見ていたが、特にアンパンマンに聞こえることもなかった。
それでもなんとなく乙女ゲームでは敬遠していた。
しかし、2014年、あやかしごはんという作品に出会う。
下野くんが出演しているという理由で購入したが、彼の演じるキャラの双子が梶裕貴ということで私はげんなりしていた。
またセット売りなのか。もううたぷりで勘弁してくれよと嘆いていた。
が、このあやかしごはんの詠という子は私の梶裕貴へのトラウマを克服するに充分な子だった。
シナリオがよかったのはもちろんだが、この詠の演技が素晴らしかった。
本当によかった。私の知らない梶裕貴が君臨していた。
そこから特に梶裕貴に出会うことはなく(そもそも乙女ゲーム自体をプレイしていなかった)詠の梶裕貴は素晴らしかったけど、梶裕貴に関しての評価がマイナスからプラスになったくらいであった。
しかし、コードリアライズのフィーニス。 私は完敗を認めた。2009年程からの長い一方的な戦争が終わった瞬間であった。
それほどまでにフィーニスは素晴らしかった。詠とフィーニスどちらが好きかと言われると選べないけど、演技であればフィーニスは詠どころか今までプレイした100本以上の乙女ゲームの中で1番かもしれない。
ところで私はフィーニスに対しての思いを書くためにブログを書いたんですけど、 なぜか(一方的な)梶裕貴と私の歴史を書いてしまった。
なんでだろう。
とにかく前々記事のエイブラハム・ヴァン・ヘルシングのような革命が起きたということを伝えたかったのです。
コドリアは人生ゲームであり、私の凝り固まった考え方を覆してくる革命的なゲームでした。
それでフィーニスの話をします。
ここからはネタバレを含みます。
フィーニスはわたしの属性まっしぐらな双子の弟。
しかも姉であるカルディアちゃんに対しての劣等感や嫉妬が強い。最高。
今まで双子はいても攻略対象に双子揃ってるだけで、ヒロイン双子弟は攻略できなかったからね
(フィーニスも攻略できないけど・・・)
なぜ自分は愛されていないのに、姉さんだけ愛されるのか、というようなことを執拗にネチネチと問い、突如笑い出し、叫んだりします。
彼は登場から一貫して、ただ父親に愛されたいだけの存在であり、父親のために姉を欲し、父親に求められている姉に激しい嫉妬をしています。
本当は憎くてたまらないはずの姉に、愛する父親のために近づかなければなりません。 父親の願いを達成すれば自分は愛されるのだと信じているんです。
父親に愛されている姉は、姉しか与えられなかったことができなかったものを拒否する。
その時の彼の激昂ときたら。
自分が欲しくてたまらないものを持っている姉はそれを放棄することになんにも疑問をもたない。
それがどれだけ彼にとって屈辱だったか、想像するほど私の心は熱くなるね!
彼はぶれることなく最後まで父親へ愛されたい欲、カルディアへの嫉妬心・憎しみが止まらず、それは物語が進むにつれ膨れ上がり、彼の心に比例して梶裕貴の演技も盛り上がっていくのでした。
一言梶裕貴が言葉を発するごとに、私は震えました。
彼のセリフは基本的に、姉さん!父様!の繰り返しでしたが、それがとにかく素晴らしかった。
余談ですが、弟の呼び方で姉さん呼びが特に好きです。
ルパンルートがフィーニスルートと錯覚したのもつかの間、それはやはり一瞬の夢。
彼と今後は生きていけるのでは。
父親への歪んだ偽物の愛ではなく、本当のまっすぐな眩しい愛を受けることができるのでは、と希望を持った瞬間
〜フィーニス死亡〜
あれまって、こんな展開こないだもみたんですが。
ヒロイン(と私の叫び)もむなしく、手は届かず死んでいく。
しかも自分の意思で。
でも彼にとってはずっと父親に縋りながら父親に愛されることを願いながら、父親が間違いだったことに気づかないことが幸せなのかもしれない。
ヒロインに愛されるのはもしかすると彼という存在自体を否定する行為なのかもしれない。
最初から最後まで誰からも愛されなかったフィーニス
(ちょっとはカルディアちゃんからの愛の光が見えたけど)
父様僕を愛して!という悲痛な叫び
私が全部覚えてるからね。愛してるからね。
君のことしか見てないからね!!!
(時々エイブラハム・ヴァン・ヘルシングが好きだけど、それはごめんな)
フィーニス!