私はポゼッションマゼンタというゲームが好きです。
この作品の美原鈴というヒロインは公式では才色兼備の優等生という設定だが、プレイヤーが作品内でそう感じることはほぼないだろう。
言動に納得できないことが多く、この人頭おかしいね、と何度も思った。
だが、コンプして1か月程たった今も美原鈴は私を惹きつける。
それは、作品内で攻略対象たちが何の脈略もなく美原鈴に惹かれるのと同じことなのかもしれない。
私は美原鈴のことを赤ちゃんのようだとよく言ってきた。彼女は悪意がなく真っ白だ。だけど、彼女に対して畏怖の面もある。なぜそう思うのかわからなかったが、おてぃんこさんがポの実況をしているときのあるツイートが大きなヒントをくれた。
今回は美原鈴に対しての考察を書き連ねたいと思います!
私が考察するきっかけになったおてぃんこツイート。
・出かける気分じゃないからって断ったのに家に誰もいなくなって暇だからという理由で結局出かける女
・そんなあっさりと・・・
美原鈴は、基本的に自分中心にすべてがまわっていて、他の人に関心がない。もっといえば、自分自身の感情も特にないし、人の感情を理解することもできないのではないか。
乙女ゲームの攻略対象にはいわゆるサイコパス的キャラがいるが、美原鈴こそホンマモンのサイコパスなのではないだろうか。
特徴
犯罪心理学者のロバート・D・ヘアは以下のように定義している。
良心が異常に欠如している
他者に冷淡で共感しない
慢性的に平然と嘘をつく
行動に対する責任が全く取れない
罪悪感が皆無
自尊心が過大で自己中心的
口が達者で表面は魅力的
ここに美原鈴の言動を当てはめていきたいと思う。
・良心が異常に欠如している。
・他者に冷淡で共感しない。
美原鈴は、根は純粋でいいこなので自分の良心にのっとって行動する。だが、共感能力が著しく欠けているので、相手の気持ちに立って考えることができない。
相手の為と思って色々と行動はするが、結局は相手のためではなく「あなたが落ち込んでいることに対して、私が不安」→「不安なのはいやだからこの不安を解消したい」という自分の気持ちが最優先される。
そのため、奏ポゼ回のように奏が心配だといいながら奏本人の気持ちを無視した行動ができる。
他者のことは基本的にどうでもいいので、前述のおてぃんこツイート画像のような人がポゼったり、死んだりする大きな出来事を目の前にしても、「今日の夕飯おいしかったな」くらいの今日の出来事の一つとして処理することができる。
鈴「確かにつらいこともたくさんあった。でも…おかげで仲間たちとの絆は強くなった。今となれば、あれも私達にとって必要な試練だったような気がする」 #possessionmagenta pic.twitter.com/EKYdRIoFWZ
— りこっち (@hkgtricoto) 2015, 12月 15
美原鈴は物語の最後にこのような言葉で締めくくる。人が二人死んでいるにも関わらず、人の死を自分の成長のための1コマとしか見ていない。自分たちの絆を強くするためであれば、人の死は必要な試練と捉える。
・慢性的に平然と嘘をつく
・行動に対する責任が全く取れない
美原鈴は自分の感情のためならその場限りの嘘をつくことが可能だ。
奏回で、幼馴染かつ兄弟のように同じ家で育った奏に対して平気で嘘をつく。奏が悩んでいる内容について、必ず話すから待っていてくれ、という奏に対して「うん、もちろん…もちろんだよ!」と大きくうなずいたにも関わらず、その言葉の直後に奏の過去を漁りまわす。
そして、悩みの内容を勝手に突き止めて、奏が美原鈴にすら隠したかった秘密を仲間に簡単にバラす。
それもこれも自己中心的な「私が奏のことを心配している気持ちが大事」だから行っている行為であり、奏のことを心から心配しているわけではない。
・罪悪感が皆無
上記のような行動をとっても、美原鈴は自分がひどい行為をしたことをわかっていない。美原鈴がした行為は正しく、美原鈴に心配をかけた奏が悪なのだ。
また、「出かける気分じゃないからって断ったのに家に誰もいなくなって暇だからという理由で結局出かける」という行為をとっても罪悪感というものはない。
美原鈴にとって、出かける気分ではないときに誘わない草太が悪なのだ。
・自尊心が過大で、自己中心的。
美原鈴が自己中心的だということは散々述べたが、美原鈴は大変自意識過剰である。
桃のオカン事故、居合わせた鈴が救急車で同行←わかる
オカンが無事とわかり、桃涙が出そう←わかる
桃、恥ずかしいから病室を出て行く←わかる
オカン「あのこの様子見てもらえる?」←?
追いかけて桃が泣いてたことを知った鈴「お母さんはそれをわかってて、私に」←???
— りこっち (@hkgtricoto) 2015, 12月 13
この時、桃と美原鈴は出会ったばかりなので、普通に考えると知り合い程度の人間に慰められることはうれしくない。だが、美原鈴は自分が慰めることがベストだと思っている。
二人でおでかけ中、雨が降る
草太は雨男←はい
草太が気合いをいれて外出するときは必ずと言っていいほど雨に降られる←はい
(じゃあ、草太ってわりと気合いれて今日、遊びに誘ってくれたのかな?)←??? #possessionmagenta
— りこっち (@hkgtricoto) 2015, 12月 13
スーミンジェ「だが、面白いものも見つかったし、まあ悪くない選択だったと言えるだろう」
基本的に自意識過剰な美原鈴「あの、まさかとは思いますけど、その面白いものって私のことじゃ」 #possessionmagenta
— りこっち (@hkgtricoto) 2015, 12月 15
すべての男が自分に惚れることは当たり前だと思っている。
・口が達者で表面は魅力的
本作では、ポゼる攻略対象に美原鈴がありがたい説教しないとピュリできないという設定がある。
そのため、どの回でも美原鈴のピュリ説教があるが、どの説教も端的にいうとクソである。
ペラペラ長いこと喋るが中身はない。そして、簡単にこの説教の内容も忘れる。
スーミンジェがポゼったのは自分が金持ちなことによる問題なのでスーミンジェにお金なんて関係ない!スー先輩はスー先輩!みたいな説教をしたのに、そのあとはスーミンジェタカリ軍団の一員として、金を貪りつくそうとする。恐ろしい女である。
と、ここまで書いたが美原鈴は可愛いのだ。
次に、最近プレイしたなかで同じように自己中心的なヒロインと比較してみる。
まず考えたのが、ビリーバーのみぁぽょ。
ただ、みぁぽょは感情がある。他人をバカにすることができる。ここが美原鈴との違いだ。
今日神子って発覚したばかりのヒロインにいろいろ説明してくれるテッシーに一言「あーあ、勅使河原先輩ってば、ほんとに役に立たないんですね」 #D3believer
— りこっち (@hkgtricoto) 2015, 12月 17
ヒロイン発言集「勅使河原先輩だって、守護者としての役割を果たしてないじゃないですか…!」「勅使河原先輩だって神子の守護者って言うんですから、逃げないで、ちゃんと戦ってください!」「きっと海や臣だったら、あっという間に異形の者を倒してくれたと思います!」 #D3believer
— りこっち (@hkgtricoto) 2015, 12月 17
みぁぽょは他者を攻撃する。自己中心的だが、人が言われたら嫌な言葉を理解していて、それを投げつけることができる。
だが、美原鈴は他者を攻撃することはない。美原鈴は他人の感情がわからないので、言われたら嫌な言葉がわからない。
また、美原鈴はまわりの人間は自分のために存在すると思っているので、上記のような発想に至らない。
みぁぽょは好かないが、美原鈴が好きな理由はここにある。
美原鈴は罪悪感がないのだ。美原鈴の行為には嫌味がない。すべて自分に向いた行動で他者に向けた行動がゼロだからだ。
ヴィオレットも自分のためにまわりに死ねという女なので自己中心的である。
だが、美原鈴とは決定的に違う。ヴィオレットは恋愛に生きる女だ。恋愛・・・自分と男のために行動している。美原鈴はそれがない。他者に興味がないからだ。
また、男が自分のことを好きなのは至極当然だと思っているので告白をされても心が動じることもない。
ポゼッションマゼンタのポゼるきっかけは各々あるが、どのパターンも美原鈴が好きすぎてポゼ発症することになる。
そのため、ポゼったときに美原鈴は告白をされることになるが、美原鈴はそれに対しては何の興味も示さない。
ポゼは死に至るので相手が命をかけて、美原鈴を好きだと言っているのにそのことに思い悩む様子は1ミリもない。
美原鈴もピュリしようと頑張ってはいるが、それはカードが視える自分の使命として割り切っており、相手が自分を好きだからそこに対して寄り添おうという気持ちはない。
ピュリした後は、自分の役目は終わったとばかりに相手の好意はさっぱり忘れる。
レンドフルールのいWAたさんは、スタッフブログでヴィオレットのお姫様像について語っているが、正直私の中でしっくりこなかった。だけど美原鈴にはあてはまる。
美原鈴は甘やかされて育ち、まるでお人形のように生きている。美原鈴は自分自身に対してもさほど興味がないように見える。自分のその場の感情で動いてはいるが、基本的にいろんなものに対しての感情が乏しい。
美原鈴のそういうところが私は好きだ。
美原鈴は一貫して、自分のその場の気持ちを優先する。
まとめ
美原鈴は美人だし表面は優しいしいいこだしペラペラ説教するけど、自分は愛されるのが当たり前だし何よりも自分のその場の気分が優先されるし他の人の気持ちを理解することができないし感情が欠落してる、でも真っ白で純粋で汚れた部分が全くないところが怖いし美しいし愛しい
— りこっち (@hkgtricoto) 2016, 1月 30
美原鈴は赤ちゃんなのだ。悪意がまるでなく、向けられた笑顔に釣られて人は笑顔になる。生まれたばかりの心を持ったまま、美原鈴のための世界で生きてきた。
美原鈴のように生きることができたらどれだけ幸せだろうか。他人の目を気にすることなく、みんな自分のことを愛してくれていると信じて生きるのはどれだけ幸せなことなのだろうか。美原鈴に強く惹きつけられるのは、憧れもあるのかもしれない。
最後に、
このようにポゼッションマゼンタは常に左上に誰目線か記されている。
もちろんヒロインである美原鈴視点がほとんどだ。
美原鈴は自分を中心にまわっている・・・その美原鈴視点の物語なのだ。
実は美原鈴視点ではなく、第三者から見ると大きく世界は変わるのではないだろうか・・・。身体の震えを感じた。
ポゼッションマゼンタというゲームは、美原鈴が見た優しい世界なのかもしれない。