ぶっこみりこちゃん

乙女ゲームのネタバレ感想

相反するひと(ニルアド翡翠感想)

翡翠

 

終始鵜飼ちゃんとは正反対の子供だなあという感想。

このルートはツグミ翡翠くんも本当に子供だった。

鵜飼ちゃんについては全記事で書いたとおり、繊細で心が優しく素直になれないわかりやすく「少年」。

青くて、未完熟ではあるけど、真っ直ぐ。強く見せたがる節はあるけど己の至らなさを理解していて弱さを認めることができる子だった。認めたくないともがいていてもきちんと心の片隅では認めているというか。

反して、翡翠くんは人当たりが良く鵜飼ちゃんルートでは大人な対応を見せていた。常識をわきまえていて柔らかく物わかりもよい子。

 

だけど一歩踏み込むとこれまた鵜飼ちゃんのようにめんどくさい。

いや、鵜飼ちゃんはめんどくさいんだけど何を考えてるかはわかりやすいし、掛け間違えたボタンがあってもすぐになおせる。

だけど、翡翠くんは一度でも違えるとどこか遠くに行ってしまうような、もう二度とこの人の隣にいれないのではないかという危うさが常につきまとった。

これが翡翠ルートの息苦しさや不安の理由なのかな?

彼の感情というかオーラというか、そういったものが自分に入り込んではくるけど、靄がかかっていて翡翠くんは全く掴めないし届かないから余計苦しかったんだと思う。

想像がつかなくて、彼の言動に一喜一憂していちいちドキドキした。このドキドキは乙女ゲームではなかなか出会えなかったりするのでこういった感情を引き起こすだけで翡翠ルートをやった価値があると思えたよ。

 

翡翠くんの声が逢坂くんというのも、またアンバランスでよかった。

いや、見た目から考えると翡翠くんの声が逢坂くんというのはピッタリなんだけど。翡翠くんの美しさを逢坂くんがさらに美しくしていたんだけど。

このルートは全体的にどろりとした、ざわざわした気持ちでプレイしていたので(私がそう感じるだけで他の人は違うかもしれないんだけどね)逢坂くんの澄み切った美しい声が不思議だった。

重苦しい中にここまで涼やかな声が響くのが余計に心をざわつかせたよ。

 

翡翠くんがツグミちゃんのことをなんで好きになったのかがいまいちわからなかったことと、笹乞がツグミちゃんに心を許したのがよくわからなかったことだけ残念。それがもっと納得できたらすごく好きなルートだったんだけど。

ツグミちゃんよりも栞さんの方が納得感があったし、ツグミちゃんが翡翠くんのこと好きだというよりも薔子さんにハマる方が納得感があったし。

鵜飼ちゃんが笹乞に投げた言葉の方がよっぽど納得感はあったな。

笹乞に関してはあんな綺麗事で心動いたんかい!と思ったけど、ハンカチを渡して小説が書けなくなると咄嗟に言ったのが大きかったのかも。。

嫌味とかでなく、翡翠くんがツグミちゃんのこと好きになった理由だれか教えて欲しい。それで補完したい。

 

と、翡翠くんがツグミちゃんを好きになった理由はわからなかったけどその後の葛藤は結構好き。

惹かれていくツグミちゃんへの気持ちと、憎悪してやまない恋や性的な欲求に自分が落ちていくことや、美しいツグミちゃんを汚してしまうのでは、と苦しむわけです。

アラサーのワシとしては厨二病かよ!て笑い飛ばしてやってチューしてやりたいところですが、ツグミちゃんはうら若き乙女なのでね、そんなことはしないよね。翡翠くんもそういう女じゃなくてちょっとウジウジした自信なさそうな女の子が好きそうだよね。

あ、そう思うとやっぱり翡翠くんは栞さんじゃないんだな。翡翠くんて実はとてもプライド高いから、自分が優位に立てるような弱い女の子を無意識に選んでそう・・・ツグミちゃんを好きになったきっかけがあったというよりもツグミちゃんのこと本能的にタイプっぽいのかも・・・話が脱線した。

 

話を戻して「貴女は誰のことも好きにならないでください」と言うくせに衝動的に壁ドンしたりキスしたりするからね、翡翠くん。

画面の向こうのわたしがドキドキするんだから、そりゃツグミちゃんは翡翠くんのこと意識しないわけにはいかないですよね。

翡翠くんも理性では恋したくないとわかっているんだけど、どんどん歯止めがきかなくなっていって、まるで昼ドラのようだね!?(あ、なんかすごいしっくりきた。すごい昼ドラっぽいの翡翠くん。だから爽やかな逢坂ボイスが不思議なの)

 

こういう予測不能なドキドキするような言動をする人って、乙女ゲームでは大人で余裕があってわざとやってることが多いように思える。ヒロインを揺さぶるために。

でも翡翠くんは感情が制御できてなくて若さゆえの衝動で、恋にどんどん滑り落ちていって。その翡翠くんの苦しさが伝染して苦しかった。言動に驚かされているのはツグミちゃんよりも誰よりも翡翠くん自身なんだよねえ。

それと並行して薔子さんのまたなんともいえない空気感が合わさって余計に靄がかかったどろっとしたルートにしあがったんだと思う。

薔子さんのところに通うツグミちゃんはあまりに自分勝手だけど、ツグミちゃんも子供だから仕方ないな。ツグミちゃんのこういう無垢な子供らしさが翡翠くんの惹かれたところなんだろう。わたしにはわからんけど翡翠くんは好きそう。

 

告白はツグミちゃんからっていうのはよかったです。ガツンと言わないと翡翠くん死ぬまで「貴女は汚したくない、僕は醜いから」てウジウジしてそうだしね。言葉を聞き入れないからキスをするというのはとてもいいですね、わたしこういうヒロイン好き。告白を受けて、そこで感情を抑えきれずに自分からツグミちゃんを求める翡翠くんというのもよかった。

まだ「貴女には綺麗でいてほしかったのに」と言いながらも、口付けを繰り返すのがね、いいよね。リボン盗んだ陰湿さとかもすごく翡翠くんらしくていいよね。

鵜飼ちゃんの話をまた出すけど、クソ坊ちゃまなのにカラッとした真っ直ぐさを持つ鵜飼ちゃんと人当たりがよいのに陰湿で仄暗い翡翠くんの違い。二人とも劣等感や嫉妬心が多いんだけど、言動が全く違ってツグミちゃんへのぶつかり方もそれぞれ違うしそれが愛しい。

 

でもここでCERODしなくてもいいのでは〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!????

言動全然ちがうのになんで!ふたりとも!CEROD!!!!!!!!!!

まあ、ふたりとも共通してるのは、若くて、理性すぐ飛んで行動にうつしちゃうところだから、、仕方ない・・・ね。若いから、若いからね〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!

僕の手で汚してもいいですかって、翡翠くん、そこで汚しちゃうんだ〜!!!????

 

と思ったんだけど憎んでいた行為を、実際に行うことで翡翠くんは一歩進めたのかなあ。

おぞましい、汚らわしい、そんな風に思っていたものが、ツグミちゃんを通すと、美しい。自分が汚しているはずなのにツグミちゃんは美しいまま。

そしてツグミちゃんも翡翠くんに美しいと返す。

ここでようやく誰かを愛することを許せたのかなと思うと、エロも致し方ないと思うのでした。

 

最後に母の思いが本を通して伝わったのはご都合主義といったらそれまでなんだけどちょろいから泣けました。

なにも背景がなければ泣けなかったかもしれないんだけどね。作品を通して稀ものは負の感情ばかりで、ツグミちゃんが良い感情のものはないのか、と問うシーンで笑われたくらい。稀ものになるほど強い感情になるのは負だと言われていたからこそ、このシーンが活きるのだと思った。

 

えっ、なんか感想すごい長くなった、ニルアド、楽しい・・・。

 

鵜飼ちゃん、翡翠くんと、若い衝動を続いたので次の紫鶴ではまた違った恋模様が描かれるのかな?

たのしみ!